・・・製作してきた東宝第一組合が「焔の男」製作企画について経営者側と対立したことは前に述べた。その後東宝経営者は、興業資本の利潤追及の方向を強化して、保守的な文化性の低いスター中心に作った第二組合に、安価なエロ・グロ・剣劇映画を作らせ第一組合を無・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・ 雑誌の企画にあんまり雷同性がつよい。これは、多くの人を不安にしている。真の原因として何があるのだろうか。日本の民主化を鼻であしらっていない編集者たちは、一冊の雑誌に右と左とをバランスさせて、さしひきゼロ、功罪なしと採料して貰うために苦・・・ 宮本百合子 「ジャーナリズムの航路」
・・・月曜日にあたる日は四ページで、しかもスポーツを派手にあつかうその社のおきまりの企画なのだろうか。それとも、このごろのスポーツの流行にことよせて、一家の中で新聞を読むのは男だけだという点をとらえて、読者確保にのり出したのだろうか。 家庭の・・・ 宮本百合子 「主婦と新聞」
・・・先ごろ来朝していた作家シーモノフが、日本の出版界にもそれを衷心から希望したとおり、ソヴェト同盟の出版事業は直接に人民文化の仕事として企画され運営されている。どうしてそんないい条件の『星』や『レーニングラード』が、くだらないゾシチェンコに叩頭・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・などという作のでてきていること、支配階級の大衆的文化政策としてラジオのみならず出版界に宗教復興が大規模に企画されはじめている。それを反映して、本荘可宗が巧に不安の文学提唱に際してかつぎ出され流行しているドストイェフスキーを捕えてきて「新しき・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・それから人民抑圧の手柄によって、警視総監となり、内務大臣となり、さいごに企画院にゆきました。彼の出世の一段階ごとに治安維持法の血がこくしたたっています。小林多喜二を拷問で殺したのも、安倍源基とその部下の仕事です。岩田義道を殺したのも、上田茂・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
・・・編輯企画の行われた前年の八九月は、まだ治安維持法が撤廃されていなかった。したがって、もとのプロレタリア作家の作品を求めることには不安があった。これら二つの条件をさけて、しかも戦後にひろがった雑多な読者層、文学作品とよみものとの区別を忘れ、或・・・ 宮本百合子 「婦人作家」
・・・彼女は組織者、企画者、行為する天才であった。が、近代科学者ではなかった。経験にたよってその範囲での成功を固執する彼女の主観的な態度そのものが、科学的でなかった。いってみれば、貴族らしい強情さでもある。 このようにしてその天稟の中に極端な・・・ 宮本百合子 「フロレンス・ナイチンゲールの生涯」
・・・安倍源基という人ははじめ警視庁の特高課長であり、その次は警視総監になり、次は内務大臣になって、それから企画院に入った人です。その間に日本の私達人民の自由と文化とは、どういう目にあったでしょう。小林多喜二を殺したのは安倍源基とその配下です。岩・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・映画製作が、種別に統制されるという企画は、日本が初めてではない。既に永年その方法でやられているところがある。やはり知りたいのは、その企画における文化としての質と量との比重であろう。 あらゆる面からそのおもしろさを求める点においても、映画・・・ 宮本百合子 「観る人・観せられる人」
出典:青空文庫