独断 芸術的効果の感得と云うものは、われわれがより個性を尊重するとき明瞭に独断的なものである。従って個性を異にするわれわれの感覚的享受もまた、各個の感性的直感の相違によりてなお一段と独断的なものである。それ故に文学上に於ける感覚・・・ 横光利一 「新感覚論」
・・・数学の教授たちは面白い面白いと云ってくれましたが、僕はこれから、数学を小説のようにして書いてみたいんです。あなたの書かれた旅愁というの、四度読みましたが、あそこに出て来る数学のことは面白かったなア。」 考えれば、寝ても立ってもおられぬと・・・ 横光利一 「微笑」
・・・一高の方ではちょうどそれに当たるような教授として岩元禎先生がいられたが、しかしそのころの岩元先生はただドイツ語を教えるだけで、講義はされなかった。論理学、心理学、倫理学など、哲学関係の講義は、速水滉さんの受持であった。従って岩元先生の哲学に・・・ 和辻哲郎 「初めて西田幾多郎の名を聞いたころ」
出典:青空文庫