・・・ロストフはウクライナ共和国の主都で、附近にはソヴェト第一の大国営農場「ギガント」があった。丁度素晴らしい「トラクター」や「コンバイン」をつかって麦の収穫を終ったばかりのところである。ドイツからの労働者見学団の若い男女たちは、その収穫の壮大な・・・ 宮本百合子 「明るい工場」
・・・ドイツの国民性を解剖し、ワイマール共和国の功罪を論じ、一知識人の日記の形でナチス運動の発展のあとをたどり、ナチス以外のドイツが、ヒトラー打倒のためにどうたたかっているかを訴えた。「野蛮人の学校」では、ナチス治下の教育が、どんなにドイツの少年・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・まず、アジアの北の広い部分を占めてソヴェト同盟の、いくつかの民族自治共和国をふくむ地域があります。広大なその地域と、これもまた広い中華人民共和国との間にはさまっているために、せまいように見える蒙古人民共和国があります。三十八度線を区ぎりとし・・・ 宮本百合子 「新しいアジアのために」
・・・うちつづく山のかなたは、モンゴリア共和国である。 十一月二日。晴れたり曇ったり。 列車の窓とすれすれにごろた石の山腹がある。ひる頃外を見ても、やっぱりそれと瓜二つなごろた石の山腹が窓をかすめて行く。 ――退屈な景色! ―・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・この大会は、フランコのファシズム政権に反対してたたかっているスペインの共和政府の所在地バレンシアに第一日の集会をひらき、のちマドリッド、バルセロナと移って、十日間つづいた。 国際ペンクラブは第十三回大会をバルセロナに第十四回大会をブェノ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・軍閥の巨頭袁を、立憲共和の新しい中華民国の大総統に推さざるを得なかったことが、最大の過誤であったという意味のことを孫文が述べているそうだ。中国だけにある悲劇だろうか。日本の一九四五年八月十五日以後に、東久邇の内閣があった、あり得たということ・・・ 宮本百合子 「兄と弟」
・・・ 第一次欧州大戦後のドイツが、ワイマール憲法をきめて、共和国となった当時最初の婦人参政権が行使され、一時に三十人の婦人代議士が出た。今年、はじめて選挙権を与えられた第二次大戦後のフランス婦人たちは三十二名の婦人代議士を選出し、なかに十七・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・の華々しい発展は社会主義共和国の教育で大虐待をうけるだろうと予想した。個人の才能、傾向、性格、そんなものは蹴散らされ、たった一つの鋳型=共産主義教育にうちぬかれた機械人形のような子供らが出来るのだろうと思っていた。 ところが、一年一年経・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・第一条 ロシア社会主義連邦ソヴェト共和国領域内ニオケル土地、地中埋蔵物、水域、森林オヨビ生ケル自然力ニ対スル私有権ハ永久ニ之ヲ廃止ス。第二条 土地ハ一切ノ賠償ナクシテ今日限リ全労働大衆ノ使用ニ帰スルモノトス。 ツァー、貴族、教会・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・去年はアジアにとってきわめて意味深い大きな出来ごとがあって、遂に中国は新しい中華人民共和国として誕生しました。 支那と云えば明治の始めから私達日本の人民は何時もなんとなしにおとった人民の様に思いこまされて居って、日清、日露そして第二次世・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
出典:青空文庫