・・・ 君達ァ白テロ白テロってデマるから、一つその白テロをくわしてやるんだ」 ドズンと、竹刀で床を突いた。長い竹刀はちゃんとさっきからその男の横の羽目に立てかけてある。「共産党との関係を云えッ」「――そういきなり呶鳴ったって、何が何だ・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・虫にくわれませんか。おや、今涼しい風が入って来た。こういう風をこの封筒に入れてちょっと吹かせてあげとうございます。二階は蒸風呂です。だもんで下にいて、些か能率低下なの。家で夏をすごすのは四年目です。ではどうか御機嫌よく。[自注7・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 芸術家としては最小抵抗線を行くものであるツルゲーネフのこの態度が、血気旺なトルストイを焦立たせたということは、実によくわかる。ツルゲーネフがヴィアルドオ夫人やその夫と共にパリの客間で「スラヴ人の憂愁」について語っていた時分、十歳年下の・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・ 食うか、くわれるか=バルザックには金、権力、称号が目的、 ∥ フランス○ドイツ の全作品の主人公のタイプ 天才のタイプ 発展小説 修業時代よりマイスターへ ドストイェフスキーの人物が現実の生活と・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・ この徳川時代をひっぱり出したわけは、こないだの夜、父が、ただやたらに本をよみ書きなどして居ても下らないから時代時代を丁寧に親切にしらべて見た方が好いだろうと云われたからその説にしたがって割合にくわしく知って居て今に近い徳川時代から段々・・・ 宮本百合子 「日記」
・・・ 文学が貧困化して来るにつれ、文壇というものは僅なものの売食いで命をつないでいる生活者のように排外的になり、その壁の中へ参加する機会をつかむためには、女までをくわなければならないような事態になった。 そういう文壇というものが、作家生・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
出典:青空文庫