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・・・賢こさというような力で、賢者がよく出たでしょう? 彼の作品には。悲劇というものも、私は又考え直して見たく思っている。メーテルリンクとは違うが私は過去の文学に規定されている悲劇というものの理解について疑問が出て来た。或る生活の中に生じる波瀾か・・・
宮本百合子
「獄中への手紙」
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・・・牧民の職にいて賢者を礼するというのが、手柄のように思われて、閭に満足を与えるのである。 台州から天台県までは六十里半ほどである。日本の六里半ほどである。ゆるゆる輿を舁かせて来たので、県から役人の迎えに出たのに逢ったとき、もう午を過ぎてい・・・
森鴎外
「寒山拾得」