・・・ 第二農場が汽車で三時間ばかりはなれたところにあり、そこには、社会主義農業の核心をなす耕作機械専門学校が建っている。 工場に五年以上働いた資格がなければ入学させない。四十人の生徒が二年後はトラクター技師として働くために勉強中だが、な・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・ 同時に、芸術篤志団、劇場労働篤志団が組織された。耕作用トラクターと一緒にひろいソヴェト全土に文化の光をまき散らそうというわけだ。作家、画家、映画労働者、劇場労働者、みんな出かけたが、技術家揃いだから、自分たちの乗って行く列車だって無・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 集団農場で働く農民の収入は、個人耕作をやる農民の年収の倍、或は三倍だ。それはそうだろう。第一税がひどくやすい。集団農場を組織して三年間は無税だ。種代、農具代は、政府の補助がある。集団農場員が冬を越すに必要な薪を伐り出す森林はタダで国家・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の解放された生活」
・・・スターリングラードの耕作トラクトル工場見学に行って、ずうっとドンの炭山まで視察だ」 見学団も各工場から出る。新しいソヴェトがどんないい工場を持ってるか、集団農場、国営農場はどんなにやっているか、都会の工場からの代表が一大隊繰り出すのにも・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
・・・ 社会進化の過程で、奴隷という働き手が出来、その労働で富が蓄えられ、耕作・牧畜・その他の固定した土地からの収穫がふえるにつれて、部落の男、父親が、その財産の管理者として権力を発揮しはじめた。女は、その財産をうけつぐための子供をうむも・・・ 宮本百合子 「貞操について」
・・・ 表面上は立派に自由の権利を持って居る様では有るけれ共、内実は、まるでロシアの農奴の少し良い位で地主の畑地を耕作して、身内からしぼり出した血と膏は大抵地主に吸いとられ、年貢に納め残した米、麦、又は甘藷、馬鈴薯、蕎麦粉などを主要な食料にし・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・ 吉田内閣のやりかたは下山事件、三鷹事件、どれをみても裏面工作、小細工陰険で、新聞デマは極度に使用されている。手口がそろそろ見えてきた。吉田首相は政府自身の工作で「国内不安」を挑発し、そのデマ記事を世界に流して国際反動の力を動員しようと・・・ 宮本百合子 「犯人」
・・・土地の関係も徳川時代と変りない地主小作の関係がつづき、年貢を米、麦等現物でおさめ、耕作方法も機械化されていない。今日までの政治で、一般人民がどんなに無権利であったかを思い出せば、日本に近代市民社会の無かったことは明瞭である。ほんの一握りの大・・・ 宮本百合子 「三つの民主主義」
・・・ 北海道開発に志を遂げなかった政恒は、福島県の役人になってから、猪苗代湖に疏水事業をおこし、安積郡の一部の荒野を灌漑して水田耕作を可能にする計画を立て、地方の有志にも計ってそれを実行にうつした。複雑な政党関係などがあって、祖父が一向きな・・・ 宮本百合子 「明治のランプ」
・・・ 農村も五ヵ年計画で集団化されてから、耕作面もひろがり、一人当りの収入も増した。一九二八年から見ると倍額になって、一人当り二百三十四ルーブリから二百五十ルーブリである。集団農場にはラジオをただできけるクラブ、托児所、共同食堂等があり、図・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
出典:青空文庫