・・・ ポーランドのワルシャワ市はポーランド人が自由を求めて幾度の行進した町だが、そこの公園に美しいショパンの記念像がある。大理石の浮彫のその彫像は、五月の若葉のかげにまことに印象深かった。 モスクワの街々にプーシュキンやオストロフスキー・・・ 宮本百合子 「行為の価値」
・・・坪内先生の生涯を考えるにつけ、様々の教訓があるが、後進に対する包括力のひろさということ、客観性ということの重大さを深く教えられる。抱月が坪内先生の常識的モラルにあっては包括され得なかった点など、ね。面白いと思います。早稲田出の代議士が勲一等・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・、日本の文学に共通な後進性として、鋭いフォークで刺されている。そして、スタインベックが旅行記をかいたように、その他ヨーロッパの誰彼が旅行記をかいたように、日本の作家には外国がかけないのであるというように云われた。 スタインベックの「ソヴ・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・北鮮の新幕から三十八度線をこえて開城につくまでの徒歩行進の辛苦の描写は強烈で、一篇のクライマックスとなっているのであるが、著者は、新京から引揚げの開始された八月九日の夜から一ヵ年の苦しい月日のうちに起ったできごとを、その身でぶつかり、たたか・・・ 宮本百合子 「ことの真実」
・・・ラジオ拡声機の大ラッパは広場じゅうへ活溌な行進曲を弾き出し、全景は赤い! 赤い! 黒い壁となって河岸まで押し出した群集は、カーメンヌイ・モストのたもとで一時ホッと息をいれた。河風は涼しい。遠くで夜空を燃している光の家、労働宮のイルミネー・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ スーザンが「アメリカ行進」という題でそれらの彫刻をひとまとめとして開いた展覧会は、多くの未完成な部分をもちながらもきわめて独自な命をもつものとして評価された。美術界の気むずかし屋、美術家連が癪にさわりながらその一言一言を気にかけずにい・・・ 宮本百合子 「『この心の誇り』」
・・・ところが、巴里の凱旋通をナチの軍隊が足並高く行進することとなって、世界は現世紀の一つの驚きの感情を経験した。どうして、フランスは敗れたのだろうか。この問いが、日本でもあらゆる人々の心に湧いたにちがいない。忽ち新聞に、フランスは文化の爛熟と頽・・・ 宮本百合子 「今日の生活と文化の問題」
・・・件が無罪と決定したこと並に、明春建国祭を期して一大国民運動をおこして特に国体明徴、日本精神の昂揚、個人主義、自由主義、功利主義、唯物主義の打破等精神総動員の趣旨の徹底をはかり学生、生徒、児童等には愛国行進その他団体運動を行わせ、これらの集会・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・日本の細いながら雄々しい民主的文学の伝統は、この時期に後進国らしい飛躍をして、先進世界のプロレタリア文学理論をうけ入れ、影響され、それに導かれて動き出したのであった。 こういう深い根源をもつ日本文化・文学の後進性については、おそらくその・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ だから今夜、クラブ音楽部員は活溌な行進曲を奏し、 一、二! 一、二! 何々区ピオニェール分隊がどっしり重い金モールの分隊旗を先頭にクフミンストル・クラブの広間を行進して来た。 右、左! 右、左、止れ! 分列。中・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
出典:青空文庫