・・・って赤いプラカート担いで行進されちゃ、参るのさ、ソヴェトのピオニェールや自覚した婦人労働者はしっかりしてるからな。病院へ入れて中毒を療して貰っても、また悪い癖に戻るようなルンペンは、生産に携る勤労者として価値ないと云っていつまでもくっついて・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・ 六列横隊で、自分達の工場音楽隊を先頭にして、行進曲と共にやって来る。愉快そうで、整然としていて、胸も躍る光景だ。「五ヵ年計画ヲ四ヵ年デ!」「ブルジョア反ソヴェト陰謀ヲブッ潰セ!」 次から次へ赤いプラカードが来る。あいまには・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・ 野呂を尊敬し、後進する人間的な社会理念にとってその生きかたこそ一つの鼓舞であると感じることが真実であるならば、逸見氏は、どうして知識人の勇気をもって、自身の辛苦の中から、野呂栄太郎こそ、嘗て生ける屍となった自身やその他の幾多のものの肉・・・ 宮本百合子 「信義について」
・・・世界文化の水平線の上に露わされている旧日本文化の後進性とその深い由来とをきわめつくし、その努力を足場として前進して行く明察と勇気との中にこそ新日本文学の端緒が期待されるのである。〔一九四五年十月〕・・・ 宮本百合子 「新日本文学の端緒」
三度めのメーデーが来る。ことしのメーデーはどんなメーデーになるだろう。お天気のよい日であることをのぞみたのしいメーデーの歌と行進とを期待する。去年は職場職場でなかなか趣向のこったプラカードや飾りものをもち出した。ブラス・バ・・・ 宮本百合子 「正義の花の環」
・・・生産技術の面でのこういう後進者としての自覚は、ソヴェト市民に「追いつけ、追いこせ」の二十五年間を可能にした。同時にまた、文化の面では、アンナ・アフマートヴァのフランス香水の残り香のする老いた桃色と紫色との詩にちょっと魅せられるような気分をも・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・これが、ロダンの芸術を益々ふかく理解させるばかりか、後進のものに彫刻のみならず、芸術というものの本質をわからせるに役立ち、文学や音楽の仕事にたずさわるものをも魅する珠玉に輝いているのは何故だろう。ロダンはそこで、自分の苦心努力ぶりを語っては・・・ 宮本百合子 「「青眉抄」について」
・・・日本において民主化の諸問題が歪むのには、すこぶる深刻な後進的、半封建的条件が作用しているわけですが、それがまたある場合には外部的な力と結合されて、いっそう複雑になって来ました。ほかの国に資本主義が存在している以上、たとえ民主主義の確立してい・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・例えばメーデーの時、革命記念祭のデモンストレーションの時には、各工場は自分の工場の音楽隊を先に立てて行進して来る。 専門的な音楽の発達のためには、ソヴェトは音楽学校の非常に程度の高いものをもっている。そこでシーズンが来ると、外国から来る・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・日本の国際感覚には、後進国らしくそして封建くさく、仲間入りさせて貰える、仲間入りするようになった、という要素が案外につよい。対等につき合うことは既定の事実で、それからさき、どうつき合うかが問題であるヨーロッパの国際性とはちがった気分が流れて・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
出典:青空文庫