・・・学の任務だという理論から、インテリゲンツィアをふくむ全人民の民主的な社会生活への推進という方向へ動かず、むしろそういう社会の潮流に抵抗して、個人をがんこにそういう流から孤立させ、社会歴史から抽象し、「個別経験の特殊性」という心理の主観的なコ・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・近代的文学を中心として自我の探求にあの道この道を迷った人たちも、今日では個別的な自我そのものがそれだけではファシズムの轍にひしがれることを十分知っている。政治の表現は複雑であり多様であって、人民的政治の表現というものを決して今日まだある社会・・・ 宮本百合子 「前進的な勢力の結集」
・・・来る頃から、そろそろ冬籠りの季節になって来て、雪などに降りこめられた禰宜様宮田が町から請負って来た粗末な笊だの蚕籠だのを編んだりするようになると、例年の通り町から、紡績工女募集の勧誘員が、部落の家々を戸別に訪問しはじめた。 紡績工場やモ・・・ 宮本百合子 「禰宜様宮田」
・・・集団農場から箇別農場へ、強制労働から自由契約労働へ転向した。これは重大な敗北だ。ソヴェト・ロシアのことなら何でもいいと云うかもしれないが、五ヵ年計画について気焔をはいていたお前はこの失敗について何というか?」ソヴェト同盟の五ヵ年計画を中條と・・・ 宮本百合子 「反動ジャーナリズムのチェーン・ストア」
・・・階級的インターナショナルの闘争を強固にし、その連帯的活動を活々させ、より効果的に行うための、具体的情勢の個別的条件としてだけ、民族性は問題となって来る。 どんな場合でも中国は中国、日本は日本ではない。中国はこうで、日本はこうで、それぞれ・・・ 宮本百合子 「プロレタリア文学における国際的主題について」
出典:青空文庫