・・・姉はお祖母さんは稲を刈らない人だから、裁決の数にゃ入れられないという。各受け持ちの仕事は少しも手をゆるめないで働きながらの話に笑い興じて、にぎやかなうちに仕事は着々進行してゆく。省作が四挺の鎌をとぎ上げたころに籾干しも段落がついた。おはまは・・・ 伊藤左千夫 「隣の嫁」
・・・手にも出所はあるべしおれが遊ぶのだと思うはまだまだ金を愛しむ土臭い料見あれを遊ばせてやるのだと心得れば好かれぬまでも嫌われるはずはござらぬこれすなわち女受けの秘訣色師たる者の具備すべき必要条件法制局の裁決に徴して明らかでござるとどこで聞いた・・・ 斎藤緑雨 「かくれんぼ」
・・・英国の二大政党のごときは単に採決に便宜なる約束的の団隊と見傚して差支ない。またすでに個人的である以上はどこまでも自己の特色を自己の特色として保存する必要がある。 文壇の諸公をいわゆる文明社会に住む人と見傚せば、勢いこの性質を具していなけ・・・ 夏目漱石 「文壇の趨勢」
出典:青空文庫