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・・・ 小万は上の間へ行ッて窓から覗いたが、太郎稲荷、入谷金杉あたりの人家の燈火が散見き、遠く上野の電気燈が鬼火のように見えているばかりだ。 次の日の午時ごろ、浅草警察署の手で、今戸の橋場寄りのある露路の中に、吉里が着て行ッたお熊の半天が・・・
広津柳浪
「今戸心中」
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・・・家が現実に存在していること、そして、そこでは山本有三が松本前警保局長と対談したとは全く異った内容性質で、作家が国家機構へ参加していることなどを、第一回全連邦ソヴェト作家大会の記事がジャーナリズムの上に散見するにかかわらず、正宗白鳥は作家たる・・・
宮本百合子
「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」