・・・このことは、婦人運動史がよく示しているし、婦人参政権運動史が、あからさまに語っている。婦人が、一般論として男子と差別のない参政権を求めたとき、イギリスの婦人たちに参政権を与えたのは、保守党であった。日本で一九四六年、婦人参政権を与えたのも保・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・生産単位として女が全く男と同じ地位にいるという点で、その余のいろいろなものが、変って来るのは当然のことで、ただ他の国の婦人参政権、あれとソヴェトの女の獲得している自由とは根本的に性質が違う。だから恋愛の自由とか、家庭における女の地位の拡大、・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・ 婦人参政に関しても、道義というものは当然あるわけだ。それがすたれ、或は穢されるということのあり得る事実も明白である。 進歩党は、過般、築地の待合金田中へ、数人のお歴々女史を招待した。そして、参集した何人かの女史に、党内の重要な椅子・・・ 宮本百合子 「人間の道義」
・・・婦人自身にしても、参政権などよりも、やすいお藷がほしいと云い、それどころか暇がなくて、と、何度云って来たことだろう。それにもかかわらずこういう結果があらわれた。婦人たちが、そんなに急に、自分たちの生活のひどさの理由を発見し、そんなに急に自覚・・・ 宮本百合子 「春遠し」
・・・ 婦人デーのきっかけとなった事件は、一九〇四年三月八日ニューヨーク市の東区の社会主義婦人同盟の人たちが、婦人参政権を要求して立ったことだった。資本主義の国々では、ニューヨークでも、ロンドンでも、イースト・サイドといえば、西区の上流区域と・・・ 宮本百合子 「婦人デーとひな祭」
・・・婦人参政権は文学という問題と違うけれども、政治は毎日の生活を処理して行くものであります、この頃のどさくさで金を儲けている人間もあるが、しかしわれわれはやはり困っています。そういうことについて現実の生活が教えている以上、一葉が文学と生活を一つ・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
・・・新しい日本が、より人間らしい世界正義の道に立って進んでゆくために、苦難を経験しつつある日本婦人の社会的成長の一つの目標として婦人参政権も認められたとき、私たちは、これからこそ、重苦しい過去の絆をふりはらって、思慮と勇気とに満ち、女らしい聰さ・・・ 宮本百合子 「婦人民主クラブ趣意書」
・・・ 一部のインテリゲンツィア婦人は、婦人参政権獲得同盟というのを結成した。婦人も代議士に選挙されるようになれば、婦人の経済状態を社会的地位、したがって人間としての文化事情も改善し得ると考える人々だ。が、現実にどうしてそんなことが可能だろう・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
日本女性の参政二年を記念して、去る十日にマッカーサー元帥が発したステートメントの言葉は大変に美しく、日本婦人の理想の姿を描き出していたと思います。 あの文章を読んで、日本のまじめな多くの女性は深い感慨に打たれたと思いま・・・ 宮本百合子 「平和を保つため」
若し、今日の議会に、真実な価値と信頼とを認め得るとしたら、婦人の提出したい、第一の問題は、婦人参政権、法律的独立人格の承認に関してであると思います。種々な法規が、消極的意味に於て女性に不便であり或る時は不公平であるとしても・・・ 宮本百合子 「法律的独立人格の承認」
出典:青空文庫