・・・は明治開化期の日本の文化のありようと、後に日本の科学の大先輩として貢献した人々の若き日の真摯な心情とを、医学者としてのベルツ、生物学者としてのモールスが記述していて、文学における小泉八雲、哲学のケーベル博士、美術のフェノロサの著述とともに、・・・ 宮本百合子 「科学の常識のため」
・・・の世界の女性たちのある資質が、そのみずみずしさ、真摯さ、溌溂さで「魅せられたる魂」のアンネットやシルヴィにまで伸び育ってゆく過程は実に心をひかれる。「ジャン・クリストフ」の世界で、それぞれの女性たちは、その優れた美しさや知性や熱情にかかわら・・・ 宮本百合子 「彼女たち・そしてわたしたち」
・・・「男も女も、性の問題を十分に、徹底的に、真摯に、そして健全に考えるようになることを望むものである」「十分に満足するまで性的に行動することは出来なくとも、性の問題については明確に考えたい」彼のこの考えは、まことに穏健な常識であるというほかの何・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・あらゆる日本の隅々から、あらゆる日本の町々から、日本の人民の議論と、笑いと、真摯な物語りとやさしい心情の流露とが溢れて、荒廃した日本を沃土としなければならないのである。 日本は、このように小さい島である。けれども、南と北に弓なりに張られ・・・ 宮本百合子 「木の芽だち」
・・・ふっくりした朗かな顔だち、真摯な誠実さのあらわれている風貌などお父さんそっくりです。金メダルを賞に貰って、マリアは女学校を卒業しました。が、その頃から益々切りつまって来た一家の経済のため、スクロドフスキーの娘たちは夫々自活の道を立てなければ・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人の命の焔」
・・・ その記事が私を打ったのも、若い女性の胸に結婚という響きがつたえられたとき、そこに湧くのが当然だろうと思われる新しい成長への希望や期待や欲求の愛らしく真摯なときめきがちっとも感じられないと索然とした思いであった。 私たちの心には、結・・・ 宮本百合子 「結婚論の性格」
・・・この頃の日本の交通機関のおそろしい混乱と、そこで敢闘する婦人たちの姿をみたとき、こう迄がんばる日本の婦人が、やがてこの混乱の根本を改革するエネルギーとして自身を見出し、又その方向に真摯な努力をつづける偽りない自身の政党を選別するときが来るこ・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・長篇「伸子」を三年に亙って執筆。昭和二年――五年モスクその他旅行。昭和七年一月結婚。著書、「貧しき人々の群」「一つの芽生」「伸子」「新しきシベリアを横切る」「冬を越す蕾」「昼夜随筆」「乳房」現代日本文学全集中「中條百合子集」文芸家協会々員、・・・ 宮本百合子 「「現代百婦人録」問合せに答えて」
・・・すなわち、創作方法は、その作家が歴史をどう生きるかの課題であるから、ある人々にとっては、創作方法の真摯で客観的な追究を通じて、より社会的な世界観への戸口をひらかれる可能もある、ということについて。―― 現代文学がよりひろくつよい社会性に・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
・・・[自注11]二年間位の仕事――「伸子」の続篇が計画されていたが実現しなかった。[自注12]シャパロフ――シャパロフ著『マルクス主義への道』。[自注13]七十銭位の本になります――ゴーリキー伝のこと。健康悪化してこの伝記は未完のま・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
出典:青空文庫