・・・ 破していわく、汝提宇子、この段を説く事、ひとえに自縄自縛なり、まず DS はいつくにも充ち満ちて在ますと云うは、真如法性本分の天地に充塞し、六合に遍満したる理を、聞きはつり云うかと覚えたり。似たる事は似たれども、是なる事は未だ是ならず・・・ 芥川竜之介 「るしへる」
・・・男女関係は欲望の充塞以外にないとも言った。その思想には、人間性の飛躍も、向上も無視した誤謬はあったが、これがために、恋愛至上といった、空想は破れたのである。そして、人間生活を現実的に、実際的に凝視せしむるに至った。 幻滅の悲哀は、人間生・・・ 小川未明 「婦人の過去と将来の予期」
・・・リアートの勝利の確立とともに、ほうはいと高まった大衆のうちのプロレタリア化の可能性=文学においてはプロレタリア文学創造のより豊富な可能性を、十分指導し、開花させるために、すでに従来の組織ではこの必要を充足し得なくなった「ラップ」の発展的解消・・・ 宮本百合子 「社会主義リアリズムの問題について」
・・・野心の結合では、一方の野心が充足されたときまたは野心の傷けられたとき、たちまち友情は破れるのである。 今日の若い心は、自分たちの間にそのような友情が見出される可能を、どの程度信じているだろうか。ここに青年たち自身の今日の課題があるの・・・ 宮本百合子 「生活者としての成長」
・・・p.259○彼等が慾求するのは 慾望の充足を希うがためのみならず、それと同時にまた慾望を拒否された堕地獄の状態をも希うがためである。○対立は対立を生むのである。p.259○狂暴な循環の中に彼らの意欲の旋風は渦巻いている。p.26・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
出典:青空文庫