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・・・ 全く、王女のように賢く、「はかない定命の下に生れた女」と云う優しい憂鬱、同時に、美しい見識を以て、白鳥のように、生活していらっしゃりたく、又被居るのではないのでしょうか。私は極々人間的なのです、総ての見方が。それ故、自分並全人類の持つ・・・
宮本百合子
「大橋房子様へ」
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・・・「御両親さえおいでになったら今頃は女御でいらっしゃったかも知れないのに御定命とは云えあんまり何でした」と一人の女が云う。乳母の娘は、「ほんとうに、もう御年頃でもあるし私達が御つき申して居ながら姫様御一人どうすることも出来ないと云って・・・
宮本百合子
「錦木」