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・・・その一年に注目すべき作品を生んだ作家たち、明日に属望される新人も、作品に即してあげられた。 これらのしめくくりは、しかし、去年という三百六十五日の間にわたしたちが生活と文学との肌身へじかにうけて生きて来た激しい暑さ、さむさ、ほこりっぽい・・・
宮本百合子
「五〇年代の文学とそこにある問題」
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・・・ 父親は、ケムブリッジ大学を卒業し、ひとから未来を属望され、自分も大いに活動する気でいたところが、彼の盲滅法な性質から、深い考えもなく或る私塾を開いている牧師の娘と恋に落ち、結婚したまま有耶無耶に六年間舅の助手で過してしまいました。舅の・・・
宮本百合子
「「母の膝の上に」(紹介並短評)」