・・・ 最近二三、顔を出しましたけれど、私は余り会合などに出る方ではありません。大概どこの会でも男の方と、女の方とがすっかり別々にかたまり合ってお話していて、そのどちらかへ一人でも男の方か、女の方かが入ってくると、妙に取澄ましてしまうという風・・・ 宮本百合子 「十年の思い出」
・・・同時に、対外的な場面も拡大されているのだがそういうところで日本の婦人が示す言動の、政治を意識する方法の低さから生じる非政治性というものは、やはり案外に大きい意味をもっているのではないかと思う。そういう点では、婦人参政権獲得のために苦難な道を・・・ 宮本百合子 「女性の歴史の七十四年」
・・・ こういう門の中に、レーニングラード対外文化連絡協会があるのだ。 厚い紅い色の絨毯が敷いてある。金塗の椅子やテーブルや鏡がそこの室内にはある。楕円形の大テーブルに、ソヴェト内地旅行案内のパンフレットや対外文化連絡協会の週刊雑誌などが・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・旅行に出る前、自分は対外文化連絡協会から石炭生産組合へ紹介状を貰い、まだ地図もよく分からないモスクワの商業区域を歩きまわって、その手配をした。 バクーは石油の都である。計画に入れてはいたが、ドン・バスほど確定的に考えていなかった。廻れた・・・ 宮本百合子 「石油の都バクーへ」
・・・ モスソヴェートは附近の労働状態を考慮して閉店時間の延長を許可するであろう。 対外文化協会発行のパンフレットは 新しい共同厨房の蒸気釜の写真をのせる。「食う準備」は人類が獣の皮を腰に巻きつけて棍棒と石でマンモスと戦った時代からの・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・で、マヤコフスキーは大胆に、ソヴェトの建設事業に非同情的な外国人と、いい布地の外套を着た外国人とさえ見ればペコつく対外文化連絡協会案内人の卑屈さを、漫画化してやっつけている。 マヤコフスキーが、ソヴェトを愛し、その発達を熱望し、それを自・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ 共産党は、対外的なジェスチュアとしてだけ文化綱領をかかげ、文化政策を云々しているのだろうか。わたしはそうではないと考えている。こんにち、真実をもって努力しているすべての人々の文化的業蹟、仕事ぶりそのものを援助し、新たな展開、精神の成長・・・ 宮本百合子 「孫悟空の雲」
・・・今までの日本の対外文化政策で、「源氏物語」という作品をどういう風に紹介したかといえば、あの作品は日本の十一世紀頃に書かれたものであって、その作者である紫式部という女性は、藤原家出身の中宮が、政策のために自分の周囲に文学の才能ある婦人を召しか・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
・・・そして、対外的には反ソヴェト的にゴーリキイがそこに引き合いに出されているのを見た。私はゴーリキイが世界的にもっている影響力の深大さに打たれた。一九二八年のゴーリキイのソヴェト訪問の結果は、世界のすべての資本主義国が卑しい期待にがつがつして待・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・辛辣のようだけれども、本当の心持で日本の対外関係を案じている傍聴人の耳に、そういう彌次の濫発が果して頼もしい代議士連の緊張した態度としての印象を与えただろうか。今日の社会人は、幾十人の大臣を演壇で彌次り倒し得たとしても、現実を合理的に展開さ・・・ 宮本百合子 「待呆け議会風景」
出典:青空文庫