・・・それから角の本やによって、第一書房のをとって、来月の『アララギ』を一冊とらせる注文をして、玉川電車にのりました。暑く、汗が出る、出る。水瓜の汗故、サラサラ流れる。家へついたのは十時半すぎでした。 風呂へ入って、お文ちゃん先へ床につき、自・・・ 宮本百合子 「日記・書簡」
・・・北は荒川から南は玉川まで、嘘もない一面の青舞台で、草の楽屋に虫の下方,尾花の招引につれられて寄り来る客は狐か、鹿か、または兎か、野馬ばかり。このようなところにも世の乱れとてぜひもなく、このころ軍があッたと見え、そこここには腐れた、見るも情な・・・ 山田美妙 「武蔵野」
・・・北は荒川から南は玉川まで、嘘もない一面の青舞台で、草の楽屋に虫の下方,尾花の招引につれられて寄り来る客は狐か、鹿か、または兎か、野馬ばかり。このようなところにも世の乱れとてぜひもなく、このころ軍があッたと見え、そこここには腐れた、見るも情な・・・ 山田美妙 「武蔵野」
出典:青空文庫