・・・「町ソヴェトの倉庫んなかに、元絹問屋の客間にあったっていう、でっかい絵があるぜ」「ふーむ。どんな絵だい?」「なんでも黒い髪をたらした女が踊ってるんだ、半分裸でよ。その女の前にある皿に、男の首がのっかってるんだ」「俺等そんな絵・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・小さい火取はなおブンブンガスのまわりをとびまわるなんぼたっしゃな火取でもよっぴてとんではいられない羽根をやすみょとて床の上ジューたんの上におっこったするといきなり骨ばったでっかい指がニュッと出で体を宙にもち・・・ 宮本百合子 「つぼみ」
・・・―皮はごか――やれ煮て食おか廻りかねたる智恵助に憂き目を見せてござるうちこすい狐はうまうまとばかしおおせて猟人をあちら、こちらと、引き廻す西へ五里、東へ三里とあゆむうちでっかい沼についた時長い旅故疲れたろ・・・ 宮本百合子 「胚胎(二幕四場)」
出典:青空文庫