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・・・と、武ちゃんが いったので、町へ いっしょに いくと、初荷の 車が やって きました。こめだわらの 上に、だいこくさまを かざって、青や 赤の ふうせんだまが いくつも ついて いました。とおりすぎる ときに、車の 上に たって いる ・・・
小川未明
「はつゆめ」
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・・・ 馬だって初荷のときは鈴をつけられる。私の弟のやさしい従順な家内が、あんなに朝から晩まであれこれ心をくばって暮しているのに、腰紐に小さい鈴が一つくっついていて、朝身じまいをするときだの、夜着物をきかえる時だの、何処かでチリリと鳴ったとし・・・
宮本百合子
「小鈴」