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・・・私はただ自分の菲才を知っているから、人よりはすくなく寝て、そして人よりは多くの金を作品のために使い、作品がかせぎ出した金は一銭も残そうとしなかっただけだ。私は新円と旧円のきりかえの時、二百円しか金がなかった。今でもそうだ。印税がはいってもす・・・
織田作之助
「私の文学」
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・・・ジッドは『狭き門』を読んだ切りで、純情な青年の恋物語であり、シンセリティの尊さを感じたくらいで、……とにかく、浅学菲才の僕であります。これで失礼申します。私は、とんでもない無礼をいたしました。私の身のほどを、只今、はっと知りました。候文なら・・・
太宰治
「虚構の春」