・・・その事あるを今日から思いまたもう遠い遠い過ぎた日からその事あるを思って、私の体はよし消滅しても私の思想ばかりは不朽に生をうけ得る様に日々務めて、尊い不朽の生を得る事の出来るだけの思想を築こうとして居るのである。 私の年頃、十代で若しくは・・・ 宮本百合子 「悲しめる心」
・・・ ピオニェールたちの間にも段々写真が普及しはじめた頃、私はかえって来たのであった。 この間うち新聞社の主催で大々的に行われたカメラ祭というものは、未曾有の催しであった。下岡蓮杖の功績が新しく人々の科学常識の間にとりいれられたのは結構・・・ 宮本百合子 「カメラの焦点」
・・・ 国語の性質、普及の範囲などと云うことは、純粋に芸術に没頭した場合、決して、第一浮んで来る問題ではないと思います。〔一九二二年四月〕 宮本百合子 「芸術家と国語」
・・・女学校令というものが出来て、女子教育の普及を計ると云われたのは一八九九年のことであるが、その次の年政府は治安警察法第五条で女子の政治運動を禁止した。 日本の地平線をちらりと掠めた民主主義の黎明は、こうして短い歴史を終った。そして近代国家・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・その原則を原則なりに新しい文学の基礎認識として普及しようとしていた時代の社会科学的批評の方法を、一九四五年以後の民主的文学運動はどのように発展させることができただろう。新しい現実にふさわしくしなやかで、機能の高い関節をどんなにふやすことがで・・・ 宮本百合子 「現代文学の広場」
・・・一、プロレタリアの技術の一半として、正確な軍事知識を獲得し、普及すること。一、軍事活動に作家も参加すること、等。 十月初旬から中旬にかけて、モスクワ地方赤軍の演習があった。ロカフは演習へ参加するために積極的にプロレタリア作家を召・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・この間、大衆の健全な娯楽、階級的な文化の一般的啓蒙、あらゆる角度と種類からの労働者階級の文学、民主主義文学の創造と普及とは、必ずしもそれぞれの特殊性を有機的にいかすくみ合わせで組立てられてもいなかったし、動かされてもいなかった。 一九四・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 全集の普及は、わたしたちすべての人民が、歴史における運命を一歩前進させるための足がかりとして小林多喜二の生涯と文学とを、あらゆる角度から多面的に摂取するための何よりの機会である。〔一九四九年二月〕・・・ 宮本百合子 「小林多喜二の今日における意義」
・・・ 明治の初め先ず普及したのが英語であったような関係で、若く急速に歩み進んだ日本で、婦人の医者はあって、病理などやる人のないということは私たちにもよく肯ける。消極の意味で肯ける。おくれている中国の状況を見ても、そこには女医は急速に増して来・・・ 宮本百合子 「市民の生活と科学」
・・・ソヴェトが今日に至ったまでの歴史、生産に対する知識の普及、衛生知識の普及、今日五ヵ年計画がどう行われているかというニュース、そういうものを芸術的にどう表現していくかという点に特長がある。同時に芸術的に技術的に非常に進んでいる。日本のように単・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
出典:青空文庫