・・・をもその主題の故に不朽であると共に同時代人から受けた巨大な非難の故に有名な作品として残しているというのは、意味深い事実である。 今から見ると、ヴィアルドオ夫人の力は、ツルゲーネフにいくたの作品を書かしめた力であったと同時に、多くの作品の・・・ 宮本百合子 「ツルゲーネフの生きかた」
・・・去年の第一回民主主義文化会議の折にも、又新日本文学会の第三回大会にも云われたように、創造と普及の統一された活動の必要は今日でもまだくり返えされてよい点だと思います。 今日の討論の中で「小林多喜二的身がまえ」について発言がありました。・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・そういう関係におかれてこの伝記は不朽の価値をもつのである。〔一九四一年五月〕 宮本百合子 「『トルストーイ伝』」
・・・そしてそのことによって進歩的読者に社会主義の具体的図絵を与え、党の意義を普及しつつある作家をその事実にたって公正に評価することが他の党員作家にとって有害であるということは理解しにくいことです。文学における政治の優位ということは文学運動と作家・・・ 宮本百合子 「文学について」
・・・ しかし作家の生きてゆく社会的感覚と作品の生きてゆき方――作品の普及される方向、出版されてゆく条件などについて、単に受動的でいられなくなっている作家、著述家があらわれてきている。 一九四五年八月、戦争が終って、日本に民主的方向が示さ・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・のこの著作の翻訳がいかなる傾向の日本の現状によってかく大々的に扱われるのであるかということを、歴史的展望に立って鋭く洞察しなければ、新聞代まで高くなったほど紙の騰貴した折柄、悪意を満載した紙屑がしかく普及されることの矛盾が私たちには諒解され・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・等の内面的旋律までを考えて日本古来の詩形を不朽な規範と考える態度に対して筆者の行っている理論的究明も、今日の現実の錯綜の中にあっては、結局萩原氏の詩論の心的・社会的因子にまでふれないと、読者にはぴったりと来ない。「新日本文化の会」のメムバー・・・ 宮本百合子 「ペンクラブのパリ大会」
・・・ 自分の心臓からとばしり出る血を絵の具にして尊い芸術を――不朽の芸術を完成して最後の一筆を加え終ると同時死んだ画家の気持をどの芸術家にでも持ってもらいたいと思う。 その画家が若かったか老いて居たかは私は知らないけれ共だれでもが生と死・・・ 宮本百合子 「無題(二)」
・・・ 日本におけるラジオの普及率は凡そ世界の十四位にあるらしい様子である。ラジオ年鑑によると、ソヴェト連邦は約六十五局、聴取者約一千万、中華民国は全国百二十局内外。施設者はアメリカと同様に千差万別であり自由経営になっている。普及率の面から見・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
・・・一九一四―一九一九年大戦に於て彼らの皇帝並帝国に奉仕せる将校、下士およびロンドン市民の不朽なる名誉の為に、記念碑が立てられている。今日は休戦記念日じゃない。事務的なロンドン人は邪魔っけそうにその銀行前に突立つ記念碑をよけて急ぎ歩いた。枯れた・・・ 宮本百合子 「ロンドン一九二九年」
出典:青空文庫