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・・・金と銀と、両面の楯であって、おまえは、楯の片面の金色を、どんなに強く主張してもいいわけだ。けれども、その主張の裏に銀の面の存在をもちゃんと認めて、そのうえの主張でなければならない。狡猾の駈け引きの如くに思われるだろうが、かまわないのだ、それ・・・
太宰治
「創生記」
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・・・ 現代は一方に一種の精神主義がひろがっていて声高くものをいっているのであるが、その片面にこういう精神活動の低調さや、にぶりが目立つということは、日本の明日への文化のためにやすんじてよいことなのだろうか。 婦人たちがますます本を買って・・・
宮本百合子
「婦人の読書」