・・・一九四一年十一月より五ヵ月ばかり、連合軍側の戦時特派員という資格で、アフリカ、近東、ソヴェト同盟、インド、中国を訪問し、ファシズム、ナチズムに対して民主主義をまもろうとする国々のたたかいの姿を報道した。「ポーランドに生れ、フランスに眠るわが・・・ 宮本百合子 「明日の知性」
・・・ 文部省にこの実状がわかっていない筈はないのに、六・三と分けて、後の三年は通信教授だけでもいいということを法文化しようとしている。あとの三年は実際に学校へ行かないでもただ通信教授をうけただけで義務教育は終ったということになる。第一、初等・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・と最悪の場合は死刑までふくむ法文を引用して見解を示している。 ところが事件の十五日夜アリバイがはっきりしているために「やや焦燥の色濃い東京地検堀検事正、馬場次席検事は」「教唆罪もあり得る」と語っている。検事のこの言葉は「あり得る」あらゆ・・・ 宮本百合子 「犯人」
・・・ 四、貨殖に汲汲たりとは真乎 漱石君の家を訪問したこともなく、またそれについて人の話を聞いたこともない。貨殖なんと云った処で、余り金持になっていそうには思われない。 五、家庭の主人としての漱石 前条の・・・ 森鴎外 「夏目漱石論」
・・・ この最初の訪問のときに漱石とどういう話をしたかはほとんど覚えていないが、しかし書斎へはいって最初に目についた漱石の姿だけは、はっきり心に残っている。漱石は座ぶとんの上にきちんとすわっていた。和服を着てすわっている漱石の姿を見たのはこれ・・・ 和辻哲郎 「漱石の人物」
出典:青空文庫