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帝銀事件として、帝国銀行椎名町支店におこった全行員から小使一家までの毒殺事件は、意味のわからないほど惨酷な毒殺方法で、すべての人の心を寒くした。犯人の目星がついた、つかないと、推理小説家まで動員されてのさわぎのうちに、日は・・・
宮本百合子
「目をあいて見る」
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・・・ 一たん階下に降りて帝政時代の政治犯人が、檻禁されていた牢屋の模型を見物する。 模型といっても、本物の牢屋の鉄格子、腰かけ、みんなもとの牢屋からとって来たものだ。ほんの一坪位の厚い壁の間に、ボンヤリ、ローソクの光に照らされながら髪の・・・
宮本百合子
「ロシアの過去を物語る革命博物館を観る」