・・・現在のロシア、あるいはむしろ日本の若干のロシア崇拝の芸術家の仮定しているロシアの影像のかなたに存する現実のロシアに、こういう、古典的の意味での芸術の存在することはむしろ一種のアイロニーであるかもしれないのである。 ほこりっぽい、乾苦しい・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・対話のユーモアやアイロニーが充分にわからないのは残念であるが、わかるところだけでもずいぶんおもしろい。新入りの二人を出迎えに行った先輩のスコッチが一人をつかまえて「お前がストーンか」と聞くと「おれはフォーサイスだ」と答える。「それじゃあれが・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
・・・ちょっとしたアイロニーを感じさせる。垣根からのぞくと広々とした緑の海の上にぽつりぽつり白帆のように人影が見える。ゴルフをやらない人間から見ると、ゴルフをやっている人はみんな大貴族か大金持ちのように思われる。垣根ただ一重の内側の緑野は、自分ら・・・ 寺田寅彦 「軽井沢」
・・・人ジョン・キーツはこの生活を憧憬して歌う、No, the bugle sounds no more,And twanging bow no more ;Silent is the irony shrillPast t・・・ 和辻哲郎 「霊的本能主義」
出典:青空文庫