・・・の印象を読売紙上で書いた時、或る人があなたは日本の婦人作家中最もインテレクチュアルな作家であり、作品中に自分をあらわさぬ、という意味の意見を述べたのを引用していました。けれども果してそうでしょうか。作家がそのようにあり得るものでしょうか? ・・・ 宮本百合子 「含蓄ある歳月」
・・・きらいな人間の方がより真実の意味でインテレクチュアルであるし、溌剌として現実的である。 科学者が自身の科学的知識によって文筆上いろいろ遊ぶのがいけないと一口に云い切れないかもしれないが、少くとも本当の科学者であるならば、科学の健全性、啓・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・ ○賢こいので何か云ってだまったとき 美しさがある ○美しきインテレクチュアル婦人という心持〔欄外に〕二十四歳 水色のクレプ・ドシンのショールが似合うたち。桃色ろの半襟 色白、 四つの子供 楠生・・・ 宮本百合子 「一九二七年春より」
・・・ 先生の教授ぶりは、熱があり、インテレクチュアルで、真摯なものであった。 黒板に何か書いたチョークを、両手の指先に持ち、眉間に一つ大きな黒子のある、表情の重味ある顔を、心持右か左に傾けながら、何方かと云うと速口な、然し聞とり易い落付・・・ 宮本百合子 「弟子の心」
出典:青空文庫