・・・此時はオートミルやうどんのスープ煮に黄卵を混ぜたりします。うどんは一寸位に切って居りました。 食事は普通人程の分量は頂きました。お医者様が「偉いナー私より多いがナー」と言われる位で有りました。二十日ばかり心臓を冷やしている間、仕方が無い・・・ 梶井久 「臨終まで」
・・・みんなオートを食べていた。 おとなや女や子供らが、その草はらにたくさん集って看板を見上げていた。 看板のうしろからは、さっきの音が盛んに起った。 けれどもあんまり近くで聞くと、そんなにすてきな音じゃない。 ただの楽隊だったん・・・ 宮沢賢治 「黄いろのトマト」
・・・ちっとオートでも振る舞ところがタスケの馬も馬でさあ、面白がってオペラのようにふしをつけてだなんてやったもんです。バキチもそこはのんきです。やっぱりふしをつけながら、(お呉とうなっていました。そこへ丁度わたしが通りかかりました。おい、おい、バ・・・ 宮沢賢治 「バキチの仕事」
・・・日本のきょうの社会ではヤミのシャンパンはメチールをまぜてキャバレーの床に流れても、つつましい共稼ぎの若い夫婦の人生を清潔に、たのしくさせるカフェテリヤもなければ、オートマットもない。きょう、やかましい産児制限のことも、こうして、住む家をもた・・・ 宮本百合子 「離婚について」
出典:青空文庫