・・・それで絵画におけるキュービズムやフュチュリズムの運命が、おそらくはこの種の映画の行く末を見せてくれるであろう。 発声映画 無声映画がようやく発達して、演技や見世物の代弁の地位を脱却し、固有の領域を設定しかけたときに、・・・ 寺田寅彦 「映画芸術」
・・・芸術界におけるキュービズムやフツリズムが直接五官の印象を離れた概念の表現を試みているのとかなり類したところがないでもない。 次に、自然科学においてはその対象とする事物の「価値」は問題とならぬが、その研究の結果や方法の学術的価値にはお・・・ 寺田寅彦 「科学者と芸術家」
・・・が『文芸戦線』の文学的傾向とは全く対蹠的なキュービズムやダダイズム、構成派の影響を強く受けて、それを独自なよりどころとしようとしたことも充分うなずける。 当時「新感覚派」はプロレタリア文学に不満を持つ広い範囲の知識人、文学愛好者の支持を・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・又、或人のように、眼の眩めくキュービズムにも。ダダも 面白かろう、然しそれとても、私には 折にふれ行きすぎ 心を掠める 一筋の町の景色だ。けれども、私がローファーなのは決して、淋しい想像で考えて下さらずと・・・ 宮本百合子 「初夏(一九二二年)」
出典:青空文庫