良ちゃんは、お姉さんの持っている、銀のシャープ=ペンシルがほしくてならなかったのです。けれど、いくらねだっても、お姉さんは、「どうして、こればかしは、あげられますものか。」と、いわぬばかりな顔つきをして、うんとはおっしゃらなかった・・・ 小川未明 「小さな弟、良ちゃん」
・・・The axe was sharp, and heavy as lead,As it touched the neck, off went the head! Whir―whir―whir―whir!・・・ 夏目漱石 「倫敦塔」
・・・ その音をきいて居ると、急に、自分のピアノのFaのシャープの出ないのが気になり出す。 雨がつづいて居る時分からああなり出したので、天気がなおるとよくなるまいものでもないと放って置いたけれ共、一向によくならない。 今日はどうしても・・・ 宮本百合子 「一日」
・・・彼にとっては演技は Sharp, detached, yet always delicate movement である。独特な所もなければ新しい所もない。全力を集中した技巧に過ぎない。すべてレトリック、すべて外形的。彼の情熱は緩き音楽の調子・・・ 和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
出典:青空文庫