・・・ ――さすがのジャーナリズムもその非を悟ったか、川那子メジシンの誇大広告の掲載を拒絶するに至った……。 お前はすぐ紋附袴で新聞社へかけつけ、「――広告部長を呼べ!」 そして広告部長が出て来ると、「――おれの広告の・・・ 織田作之助 「勧善懲悪」
・・・ 街頭狗肉を売るところの知的商人、いつわりの説教師たちを輩出せしめる現代ジャーナリズムに毒されたる読書青年が、かような敬虔な期待を持つことができないのは同情に値する。しかしながらジャーナリズムはまた需要にこたえるものでもある。読書子の書・・・ 倉田百三 「学生と読書」
・・・ しかし、どうも、このごろのジャーナリズムは、いけませんね。私は大戦中にも、その頃の新聞、雑誌のたぐいを一さい読むまいと決意した事がありましたが、いまもまた、それに似た気持が起って来ました。 あなたの大好きな魯迅先生は、所謂「革命」・・・ 太宰治 「返事」
・・・が現代的科学的修辞に飾られて、しばしばジャーナリズムをにぎわした。 しかし蠅を取りつくすことはほとんど不可能に近いばかりでなく、これを絶滅すると同時に、蛆もこの世界から姿を消す、するとそこらの物陰にいろいろの蛋白質が腐敗して、いろいろの・・・ 寺田寅彦 「蛆の効用」
・・・しかし現代ではまだ、学者で新聞雑誌にものを書くことが悪い意味でのいわゆるジャーナリズムの一部であるように考える理由なき誤解があるのと、また一方では新聞雑誌の経営者と一般読者とが、そういうものの真価値を充分に認識しないのとで、この種の特殊文学・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・議会でも暴露の泥仕合にのみ忙しくして積極的に肝要な国政を怠れば真面目な国民は決して喜ばないであろうと同様に、学位授与の弊害のみを誇大視して徒らにジャーナリズムの好餌としていては、その結果は却って我邦学術の進運を阻害するようなことに多少でもな・・・ 寺田寅彦 「学位について」
・・・こういうのがいわゆるジャーナリズムの真髄とでもいうのであろう。 ついこのあいだもある学者がアメリカの学会へ行って「黄海の水を日本海へ注入して電力を起こす」という設計を提出して世界の学者を驚かせたという記事が出た。数日後に電車でひょっくり・・・ 寺田寅彦 「錯覚数題」
・・・たまたま紹介されると、それは新聞の三面記事のようなジャーナリズムの臭味の強烈なものであって、紹介された学者を赤面させるようなものである。 これと同じような傾向が日本の科学教育全般に行きわたっているのではないかと疑う。日本人が科学的頭脳に・・・ 寺田寅彦 「雑感」
いつかある大新聞社の工場を見学に行ってあの高速度輪転機の前面を瀑布のごとく流れ落ちる新聞紙の帯が、截断され折り畳まれ積み上げられて行く光景を見ていたとき、なるほどこれではジャーナリズムが世界に氾濫するのも当然だという気がし・・・ 寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
・・・が現代的科学的修辞に飾られてしばしばジャーナリズムをにぎわした。 しかしはえを取り尽くすことはほとんど不可能に近いばかりでなく、これを絶滅すると同時にうじもこの世界から姿を消す、するとそこらの物陰にいろいろの蛋白質が腐敗していろいろの黴・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
出典:青空文庫