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・・・「こんなスカタンな、滅茶苦茶な戦争されて、一時間のちの命もわからんようなことにされながら、いくら兵隊さんにでも、へいと言って出せるもんですか」 そう言われると、二人は、「自分たちもそう思います」 と、うっかりそう答えてしまい・・・
織田作之助
「昨日・今日・明日」
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・・・十数年後ハンスカ夫人に宛てた手紙の中でバルザックが当時の優しい回想に溺れながら述べているように、困窮の中にある「人間を極度の卑屈から守る自負を」バルザックの心に植えつけたのも彼女の激励のたまものであった。ベルニィ夫人は、自分が両親を通して知・・・
宮本百合子
「バルザックに対する評価」