・・・ 第二回の文化擁護国際作家大会は、一九三七年十月、内乱のスペインに開かれた。この大会は、フランコのファシズム政権に反対してたたかっているスペインの共和政府の所在地バレンシアに第一日の集会をひらき、のちマドリッド、バルセロナと移って、十日・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・そして、外国の新聞はこの戦闘行為の性質を解剖して、その背後の勢力を考えるとこの白沙漠に於ける戦闘はスペインの内乱の如き性質を持つものであると言っている。 今やイタリーにとってアフリカの植民地問題は従来のような人口問題の解決法としての域を・・・ 宮本百合子 「イタリー芸術に在る一つの問題」
・・・スウェーデンの若い女王クリスチナがスペインから王の求婚使節になって来たある公爵だかと、計らず雪の狩猟の山小舎で落ち合い、クリスチナが男の服装なのではじめ青年と思い一部屋に泊り、三日三晩くらすうちクリスチナが女であることがわかり互に心をひきつ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・七月にはスペインにフランコ将軍の叛乱が起り、アンドレ・マルロオは政府軍の義勇軍に投じた。第十四回国際ペンクラブの大会は、会合地の関係もあって、英米ともに文学の現役を送らず、文学的には貧弱であったが、それにしても猶、日本から遙々出席した「夜明・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・ 例えば、同じヨーロッパの中でもスペインやイタリー、ギリシャのような南方の諸国の自然と、ドイツ、ロシアなどのような北方の国々とでは、気候によって咲く花が違い空の色がちがうように、言語の発声法が異り、人々の気質がちがって来ている。ナポリの・・・ 宮本百合子 「自然描写における社会性について」
・・・人文地理的な説明だけでは私には納得しきれない。スペインのこんにちの燃え立つ階級間の争闘を、柳沢健氏が、その民族の持っている一本気で純朴で誠実な徳性によって、惨虐性にまで進められてあるのだと説明していることだけにあきたりないと同じように。思想・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・ ルネッサンスの時代が進んでからは、婦人の社会的な生きかたもひろがりをもちはじめ、スペインのコルドヴァ大学などで婦人の学者も数人あらわれた。ルネッサンス時代の豊富さ、人間性の横溢を代表する芸術家の一人としてシェークスピアの戯曲が、いつも・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・フランス、スペイン等の各国が、おのおの土地開拓に努力している。 まるで、私共が、急にアフリカの真中にでも移住したように、絶えず生命の危険に脅かされ、自分の手一つの力で衣食住の要求を充たして行かなければならない場合、人は怯懦でいられましょ・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・やぶられつつやぶられない というような有様 ショウ ロレンス ジョイス ○英国人の誇恃の種類 スペインに行ってもイギリス人たる誇の自覚から自由になれず アメリカ人のように自在に動けず、文学も新しい輸血・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・ピカソの画が分らないということは画が分らないということではない。スペインの頽廃した近代の歴史と、そこで生れたピカソがパリに暮して絵画の世界市場で自分の存在をあらそって来た過程でかれの芸術がどのような変転をしてきたかという、その現実に突き入っ・・・ 宮本百合子 「ディフォーメイションへの疑問」
出典:青空文庫