・・・また、あらゆる面にはびこっている日本の封建的な官僚主義やセクト主義が、法隆寺の壁画保存にもからんでいて「法隆寺グループ」というものの存在も語られた。散々不評だった下條文相をやめさせるきっかけに、吉田首相は法隆寺失火責任を負わせ、火事は政治漫・・・ 宮本百合子 「国宝」
・・・それらの、歴史の過程が私たちの現実に課す制約は、一九三三年以後すべて「セクト的な強制」というふうに感じられそれを公言することが流行となり、ヒューマニズムという旗は、無軌道な人間感情の氾濫という安易な線に沿ってひらめいたのでありました。日本の・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・人民別、専門別、職域別、都会対地方とセクト的な感情を利用されて孤立させられる危険を克服するために。「労働者階級の意識は、たとえそれが如何なる階級に関係したことであろうとも、恣意と圧制、暴力と濫用が行われたときは、いついかなる場合にも黙過・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・同じことはその地方の民主団体がセクト的である場合にもおこりがちです。 地方主義、地方英雄主義にならないで、これからますます現実の複雑になる日本の諸地方生活のために、人民の自主と文化反動への抵抗となってゆくべきと思います。・・・ 宮本百合子 「地方文化・文学運動にのぞむもの」
出典:青空文庫