・・・続いてN国領事のバロン何某と中年のスカンジナビア婦人が二人と駆けつけて来た。婦人たちがわりに気丈でぎょうさんらしく騒がないのに感心した。 室の片すみのデスクの上に論文の草稿のようなものが積み上げてある。ここで毎日こうして次の論文の原稿を・・・ 寺田寅彦 「B教授の死」
・・・ 以上はほとんどすべて Robert John Strutt すなわち現在のレーリー卿の著書 "John william Strutt, Third Baron Rayleigh" から抄録したものである。ここでは彼の科学的な仕・・・ 寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
・・・ 遠き世の物語である。バロンと名乗るものの城を構え濠を環らして、人を屠り天に驕れる昔に帰れ。今代の話しではない。 何時の頃とも知らぬ。只アーサー大王の御代とのみ言い伝えたる世に、ブレトンの一士人がブレトンの一女子に懸想した事があ・・・ 夏目漱石 「幻影の盾」
出典:青空文庫