一 彼は若い愛蘭土人だった。彼の名前などは言わずとも好い。僕はただ彼の友だちだった。彼の妹さんは僕のことを未だに My brother's best friend と書いたりしている。僕は彼と初対面の・・・ 芥川竜之介 「彼 第二」
・・・やがて女は、帯をほどいて、このけしの花模様の帯は、あたしのフレンドからの借りものゆえ、ここへこうかけて置こうと、よどみなく告白しながら、その帯をきちんと畳んで、背後の樹木に垂れかけ、私たちは、たいへんやわらかな、おっとりした気持ちで、おとな・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ of science is perhaps connected with his bibliophilistic inclination which is well known among his friends. His private・・・ 寺田寅彦 「PROFESSOR TAKEMATU OKADA」
・・・アメリカの市民感情に戦争挑発にのせられる何かの可能があるとすれば、それは自身の近代的戦力の影を、逆にわが身の上におとしての戦慄であろう。わたしたちは、よく知っていなければならない。アメリカのフレンド派のクリスト教徒三万人は、第二次大戦に、良・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
出典:青空文庫