・・・それに反して、労働者階級は、そして民主的な人々は、中国の解放を、アジアの民主勢力の決定的なプラスと見たのは正当であり、世界民主勢力のより一歩の勝利と見たのも正当であった。 同時に、一部には、何かの錯覚めいた性急さが湧いた。国内の反民主主・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・СССРでは女性が市民、勤労者としての権利に於て男性と全く対等である上に、プラス、母として性の擁護を法律によって完全に与えられている。 窓外はまだ零下十五度の厳寒である。凍った雪あかりが室内の白い壁にチラチラしている。 窓枠が少・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・政府にたいして独立の発言権をもてばこそ、たとえば労働委員会にしても勤労大衆の福祉のためになにかのプラスを加えることが可能である場合が多い。それが委員会であるから行政施行法によって政府の掣肘をうけなければならないとすれば、委員会本来の性格は失・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・彼の帝国博物館総長図書頭という官職は果して彼の文学的達成にプラスとなっているのみであろうか。伝記を読むと彼はその官職に就いて辞令をうけた日、従来一個の文学者としての立場からその学芸欄に関係を持っていた諸新聞と、改めて関係を断っている。このよ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・過去の文学運動のプラスとマイナスとに対する慎重な反省から目を逸らさせ、真面目な再吟味の根気を失わせられたことは、それらの作家たちが過去において率直に傾け示した自身の努力、人間的善意の価値に自信を失わせる結果となり、従って、プロレタリア文学運・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・すべての記事が選挙闘争めざしてプラスに統一されているなかに、なぜポツンと「火ばな」が、ああいう投書をのせなければならなかったのだろうか。奇異なことであった。 選挙後、三百万票を得た党は、文化面でもひろく力を結集して文化反動とのたたかいに・・・ 宮本百合子 「事実にたって」
・・・自働ベルトを一時間毎に二分止めて、その間に平常軽い体の屈伸運動をさせるだけでさえ、婦人の健康には大なるプラスであることを一般が知って欲しいと思う。〔一九三七年五月〕 宮本百合子 「職業婦人に生理休暇を!」
・・・『知識』が、各誌共通のトピックのほかに内容の多様性を求めて一頁論壇、谷崎潤一郎の文章読本の短い批評、宗教についての記事などを広汎にのせていることはプラスであり、続行されたい点である。けれども、たとえば「音楽雑談」や一頁人物評、吉川英治につい・・・ 宮本百合子 「新年号の『文学評論』その他」
・・・ての諸問題を、現象に即し、歴史に即して語り、そこから必然に導かれる社会主義への展望で語ったとしても、それだけではまだわたしたちがきょうに生きている、この世界の現実に、日本の人民である婦人の善意として、プラスをもって働きかける力とはなりにくい・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・即ち、世界の正直な人民は、戦争挑発をしりぞけ、自分の国のなかにおける専制的な権力とたたかってゆくために、量りしれないプラスを得たことを意味します。再び、一九五〇年という年への期待と歓喜を! 一九四九年九月二十一日から十日間、北京で開・・・ 宮本百合子 「宋慶齢への手紙」
出典:青空文庫