・・・三毛が食物に対してきわめて寡欲で上品で貴族的であるに対して、たまは紛れもないプレビアンでボルシェビキでからだ不相応にはげしい食欲をもっていた。三毛の見向きもしない魚の骨や頭でもふるいつくようにして食った。そしてだれかちょっとさわりでもすると・・・ 寺田寅彦 「ねずみと猫」
・・・しかもそれは一人の前進的な人間の小市民的インテリゲンツィアからボルシェビキへの成長の過程であり、日本のプロレタリア解放運動とその文学運動の歴史のひとこまでもある。そのひとこまには濃厚に、日本の天皇制権力の野蛮さとそれとの抗争のかげがさしてい・・・ 宮本百合子 「巖の花」
・・・古いボルシェビキで、国内戦のときは、一方の指揮者となって戦ったプロレタリア作家タラソフ・ロディオーノフが、本気な顔をしているのは当然だ。 次の研究会までに、各職場の文学委員が、各自何人の文学衝撃隊を組織出来るか報告することになって、作品・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・ プロレタリアの陣営からの批評は、階級的陣営が違うと、もういうことはきまっていると思わせる狭いところがあった。ある時は高飛車なところもある。 ボルシェビキ的批評というものは、本質においてそうではない。 どっちの陣営の作品でも、そ・・・ 宮本百合子 「こういう月評が欲しい」
・・・の中で、繰返し繰返し組織のデモクラシーを、ボルシェビキ的指導で貫徹することの絶対的必要を力説している。 最後に、これらの批判中に示されている中條の論文と指導部との関係についての関心に対して一言したい。 同志神近は、中條の「左」への危・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・その二つの型の間に、機械的なマルクシズム応用の対立があるだけで、真のボルシェビキらしい具体的な悪玉への働きかけや、職場の動揺している労働者へのよびかけ、親切な導きが一つも扱われていない。職場の現実は、決してそういうものではないというのだ。・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・ かかる意味において、われらは同志小林の闘争の生涯がボルシェビキ的強情さによって貫徹され、高き規範を示したことに無限の敬意を捧げるのである。同志小林が身を挺して確保した革命的到達点を、理論、創作、組織的全活動の分野において更に推進させ、・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・「全同盟共産党・ボルシェビキ」とそれぞれ高く入口に札をかかげた部屋部屋だ。その先に図書室がつづいている。ドミトロフ君が静にドアをあけたところから内部を見ると、中央の大テーブルをかこんでいろいろの雑誌を数人の男女が熱心に見ている。テーブルの程・・・ 宮本百合子 「ドン・バス炭坑区の「労働宮」」
・・・プロレタリア・農民の激化する闘争の経験が、柔軟性豊かな、感情のあらゆる隅にまで浸透するボルシェビキ的日常性そのものとして立体的にとりあげられず、闘争面だけの小録として扱われたうらみがあった。 日本におけるプロレタリア文化運動が進展するに・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・お前はボルシェビキだよ。確に過激派だ」 すっかり理解が出来たと云うのではなくても、思って居たこと丈は兎に角云って、少しは心も溶けたと云う風を見、其日は帰った。 Aは、詰らない、何故そう判らないのか、と云って厭な顔をする。特に、彼にと・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
出典:青空文庫