・・・茶坊主政治は、護符をいただいては、それを一枚一枚とポツダム宣言の上に貼りつけ、憲法の本質を封じ、人権憲章はただの文章ででもあるかのように、屈従の鳥居を次から次へ建てつらねた。 おととしの十二月二十日すぎに、巣鴨から釈放されて、社会生活に・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
絶対主義と戦争熱で正気をうしなっていた日本の政府が無条件降伏して、ポツダム宣言を受諾したのはつい一昨昨年の夏のことであった。今日までに、まる三年たつかたたずである。その短い間に日本の民主化の道は、はっきりと三つの段階を経た・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・ 民主的な日本にしなければならないというポツダム宣言を受諾した。日本の人民を解放し、民主社会にしなければならない責任を、いまの政府は世界から負わされている。云わば、その責任の故に存在を許されている。ところが、今日において民主的な文学とい・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・ ごたごたに誘い出される暴力についても、人民自主のためには十二分の理解がいる。ポツダム宣言受諾後、現在日本の政府は、表面上は人民に向って行使すべき武力を失っている。人民に対して行使する表向きの暴力はもっていないという建前になっている。連・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・ 日本の民主化がポツダム宣言によって、政府に対して義務づけられたということは、とりも直さず、第二次世界大戦を契機として日本がどんなに封建的な暴力的な権力によって支配されて来ていたかということを語っている。 世界が驚きの眼をみはって眺・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・ 一九四五年八月十五日から、こんにちまで日本のわれわれは、日本の民主化というものが、どんな風に推移して来たかを、まざまざとその身で経験している。ポツダム宣言。日本の新しい憲法。労働に関する法律。人民の日常生活安定を確保することについ・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・ ポツダム宣言の受諾によって、日本の侵略戦争の本質が示され、民主主義の方向をとるといっても、日本の多数の人々が、呆然としているばかりだったのは無理なかった。海もてかこまれし島の住民は、自分たちの運命を破壊しているのがファシストであり、狩・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・八月十五日の正午、天皇はラジオで日本の無条件降伏を宣言した。ポツダム宣言は受諾された。急速な武装解除が行われた。九月〔二〕日にミズリー艦上で降伏文書調印が行われた。十月四日、連合軍総司令部の指令によって、治安維持法の撤廃、政治犯人の釈放・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・社会党を盗人の巣のように思わせ、そこにスポットを当て、わやわやと目に見える光景にばかり気をとられているうちに、日本の生産はいつの間にかポツダム宣言で武装放棄したにかかわらず何人かのために軍需化され、五年後には主要食糧生産の増加率よりも鉄の生・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・「これ、何処へつづくのかしら」 下から消しの多い草稿をさし上げて見せた。「ポツダム宣言の趣旨に立脚して……その次」 行を目で追って、「ここだ」 重吉は、もっているペンで大きいバッテンをつけて見せた。「今後、最も厳・・・ 宮本百合子 「風知草」
出典:青空文庫