・・・は喜劇中のモーメントである。少なくも本邦のトーキー脚色者には試みに芭蕉蕪村らの研究をすすめたいと思う。 未来の映画のテクニックはどう進歩するか。次に来るものは立体映画であろうか。これも単に双眼的効果によるものでなく、実際に立体的の映像を・・・ 寺田寅彦 「映画時代」
・・・ところが日本の文学の発達を考えて見るに果してそう云うモーメントが有ったか、有るまい。今の文学者なざ殊に、西洋の影響を受けていきなり文学は有難いものとして担ぎ廻って居る。これじゃ未だ未だ途中だ。何にしても、文学を尊ぶ気風を一旦壊して見るんだね・・・ 二葉亭四迷 「私は懐疑派だ」
・・・ 形は小さいが、活々したモーメントを批判し、到るところで、いろんな形で、敵の攻撃と自己批判をやってゆく、独特な文化的武器となるに違いないのである。 現に移動劇場の仕事は、よくこの諷刺文学の、小粒な活力を利用してわれわれに見せている。・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
出典:青空文庫