・・・通行人は、のんきにロシアのルバシカと長靴で構内線路を横切って歩いていたのだろう。 ところが、貨車はどんどんやって来、もうその下をもぐって往来しかねるようになったので、この新しい木橋がつくられた。―― 新らしい陸橋はここで見たのがはじ・・・ 宮本百合子 「新しきシベリアを横切る」
・・・ライラック色のルバシカに金髪を輝やかした青年と、黒い上着を着て白っぽいハンティングをかぶったもう一人の青年とが、或る日その屋上へ出て来て愉快そうに談笑しながら、小さいカメラを出して互に互の写真をとりあっている。こっちの窓から其光景を遠く眺め・・・ 宮本百合子 「カメラの焦点」
・・・ 日本女の胆嚢に入ったバイキンは、あらゆる瞬間に、ルバシカに包まれたモスクの市民の胃にも侵入しつつある。モスク全住民の幾割が衛生的な家庭の食事にありついて居るであろうか。「女性が台所にとじこもって居る間、社会革命は完成されないであろ・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・ 白い木綿や麻のルバシカを着たソヴェトのプロレタリアートに支那人もコーカサス人もグルジヤ人も混って、愉快に大衆遊戯などやってる光景は、実に世界に二つとない見ものだ。 昔から、劇場は夏になると閉められ、軽い芝居を公園の中の夏舞台でやる・・・ 宮本百合子 「ソヴェト労働者の夏休み」
出典:青空文庫