・・・それを解決したところで、今までのようにルーズな姉の生活と、無能な甥や、虚栄心の強い気儘な姪の性質を、根本的に矯正しない以上、何をしでかすか判らなかった。道太は宿命的に不運な姉やその子供たちに、面と向かって小言を言うのは忍びなかった。それに弱・・・ 徳田秋声 「挿話」
・・・インフレーションに名をかりて、金の上でのルーズさが案外見のがされているところがあるのではないだろうか。勤労階級の解放というような大事業をめざしている共産党員がそういうことについて気をくばることは私的な些事であるかのように言う人がある。しかし・・・ 宮本百合子 「共産党とモラル」
・・・でふれているように、編輯者たちのルーズさ、作家のうかつさというわけなのだろうか。 こんにち日本は、一つの危険な不幸な状態におかれている。花山信勝の「平和の発見」が、そこに一つも平和への誠意がないことを批判されつつ特に九州や東北の農村でひ・・・ 宮本百合子 「作家は戦争挑発とたたかう」
・・・一種のルーズな物判りよさみたいなもので女の甘やかされた形で、夫の人が某々君も君を尊敬しているんだよと云う調子で、だらだら続けられているような「男友達」との家庭的交渉は逆に男の人が自分の「遊泳」の余地を残しておく賢い方法で大したことはありませ・・・ 宮本百合子 「女性の生活態度」
・・・作者は、取扱おうとしている現実にはよく通じているのであるけれども、作品での構成は、規模の大きい割にルーズであり、平板であり、筆致もやや粗いのは遺憾である。このために、中国の生活の推移を語る莫莫やキータの性格や行動が漠然としてしまっている。軍・・・ 宮本百合子 「「揚子江」」
出典:青空文庫