・・・その仕事の一翼と自称する大袈裟な身振りの文学には、軽蔑を以て接していた。私は、その一期間、純粋な政治家であった。そのとしの秋に、女が田舎からやって来た。私が呼んだのである。Hである。Hとは、私が高等学校へはいったとしの初秋に知り合って、それ・・・ 太宰治 「東京八景」
・・・ 作家同盟婦人委員会が、プロレタリア文学における婦人の広汎な積極的な活動は真に階級的な文化闘争の一翼として、どれほど重大な意味をもつものであるか、各支部はこの分野の活動を直ちにとりあげるべきであることをいち早く各支部に徹底させることを遅・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・ これまで社会問題をあまり扱わなかったN・R・Fさえ時事問題をあつかわざるを得ない情勢におされ、広汎な反ファシズム文化運動の一翼につらなったのであった。が、アンリ・バルビュス、ルイ・アラゴン、トリスタン・ツァラ、クウチュリエその他によっ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・文化の相関的一翼として文学においてもこの現象は今日あきらかに現れている。それは後にふれることとして、最近石原純氏が、所謂統制に反対の立場において書かれている一二の文章の中で、疑問に感じたことがある。 石原氏は、科学が軍事的功利主義で余り・・・ 宮本百合子 「作家のみた科学者の文学的活動」
・・・そしてその闘いは、現代において二十世紀はじまりのヨーロッパにおいてのように、個人の偶然もっている条件――才能と環境――だけに頼らず、科学技術者として勤労人民の全戦列の一翼にむすびついて前進しなければならないという時代に入っています。 日・・・ 宮本百合子 「質問へのお答え」
・・・ 農村の自主化、都市労働者の生産管理による必要物資のより多量の生産、消費者の自主的な組織と政治的見識ある食糧委員会の活動、この三つが一つの線となって結び合い、倶に活動して、はじめて人民戦線活動の一翼としての食糧問題も動き出せる。人民戦線・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・反宗教運動は、プロレタリア文化運動の一翼として、当然起ってくる活動です。 吾々の日常生活を脅やかしている敵は何者か。それは、世界の資本家、資本主義的社会組織だと知った時には、宗教も亦、敵の武器として日夜大衆にむかって目に見えぬ催涙弾の働・・・ 宮本百合子 「反宗教運動とは?」
・・・ 文筆家の覚醒の一翼として、翻訳家の現実問題がおこって来ている。従来、日本では翻訳家の存在が比較的有利であった。特に、それぞれの外国語で権威といわれる立場にいて後輩をもち、学閥をもっていた人々にとって。日本の社会は封鎖されていて、外国語・・・ 宮本百合子 「文化生産者としての自覚」
・・・階級闘争の一翼としての芸術活動の正当な任務を理解するために絶えず自己批判し、また「文戦」と論争をくりかえした。 プロレタリア・農民大衆は一年一年と、闘争の実力とブルジョア文化に対する階級的プロレタリアの文化水準を高めてきた。「ナップ」の・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・これもファシズムとの闘いへのはっきりした一翼です。人間の人間らしい文化的な欲求を階級の発展する歴史の必然に一致させて、それをのばし主張してゆくこと、ほんとに自分たちの文化を闘いとってゆくことは、口でいうほど簡単でありません。また、組合活動の・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫