・・・卑近な実例で、大蔵次官が収賄して下獄した。ああなるまでにもし彼の細君がはっきりくりかえして、わたしたちの家庭に、いかがわしい洋服はいりません。みそ醤油なんぞまでもらうのはあんまりだから、いやです。といったら、どうだったろうか。 大蔵委員・・・ 宮本百合子 「今年のことば」
・・・私共には、前司法大臣が破廉恥罪で下獄すると報道されている同日の新聞に、前鉄相が五万円の収賄で召喚されることを読む方が、恥といえば何か恥に近いものがあると感じられるのである。 外国人の男に対して、日本の女が概して無防禦であり、惚れっぽいと・・・ 宮本百合子 「日本の秋色」
・・・川島忠之助は正金銀行の支配人として活躍したし、東海散士、柴四朗は農商務次官、代議士、大阪毎日新聞初代社長、外務参事官、閔妃事件で下獄したこともある。馬場辰猪は、明治四年頃ロンドンで法律を学び、自由党解散の前年「天賦人権論」を著し、獄中生活の・・・ 宮本百合子 「文学における今日の日本的なるもの」
出典:青空文庫