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・・・酉の下刻に与力仁杉八右衛門の取調を受けて、口書を出した。 この日にりよは酒井亀之進から、三右衛門の未亡人は大沢家から願に依って暇を遣された。りよが元の主人細川家からは、敵討の祝儀を言ってよこした。 十九日には筒井から三度目の呼出が来・・・
森鴎外
「護持院原の敵討」
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・・・いちはほとんどこうなるのを待ち構えていたように、そこにうずくまって、懐中から書付を出して、まっ先にいる与力の前にさしつけた。まつと長太郎ともいっしょにうずくまって礼をした。 書付を前へ出された与力は、それを受け取ったものか、どうしたもの・・・
森鴎外
「最後の一句」