・・・ 当方は名代の三段がえし、旅順口はステッセル将軍と乃木大将と会見の場、サア只今! 只今! せり上り活人形大喝采一の谷はふたば軍記! 店々で呼び合う声と広告旗、絵看板、楽隊の響で、せまい団子坂はさわぎと菊の花でつまった煙突のようだった。白と黒・・・ 宮本百合子 「菊人形」
・・・小説の中では児玉榕子という名をもって存在している一人の女性の人生態度についての架空会見記を偶然よんだ。「風にそよぐ葦」は甚だひろくよまれている。戦争に反対し、軍国主義の非人間的だった時期の日本の悲劇を描くとされているのであるけれども、榕・・・ 宮本百合子 「傷だらけの足」
・・・それがでたらめの噂でなかった証拠には、トルーマンの当選が確認された翌五日、『朝日新聞』には、『主婦之友』が先ばしりの悲喜劇をあらわにして、特派記者による奇蹟的会見記という特報でデューイ夫妻会見記を仰々しく広告している。このでんで、『主婦之友・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・吉田首相が記者会見のとき、連合国の日本民主化方策について、はじめは危惧の念を抱かないでもなかったが、この頃は我々にも十分納得ゆくようになって欣びにたえない、と語ったことは現実的な深い内容を暗示した。ポツダム宣言、世界憲章の人類的な道義の道は・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・誰かと会見する約束が生じる。すると父はすぐ内ポケットから手帳を出して、それを書きこみます。百合子、あさってひる飯に事務所へ来ないかい? ありがとう、行くわ。そのような内輪のメモにもなり仲通りの何処かで何か陶器の気に入ったのが目につくと、その・・・ 宮本百合子 「父の手帳」
・・・ところが一九四六年の下半期になると、吉田は記者会見で日本に対する占領政策が自分もだんだん納得できるものになってきたと語った。そして今はどうでしょう。石の上にも三年待った甲斐があらわれていないでしょうか。この三年間に、どぶ水が溢れるような汚さ・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・その役人とジャーナリストたちとの定期会見の席で、あるジャーナリストから編輯上の判断に困るから内務省として執筆を希望しない作家、評論家を指名してくれといったために、当局としては個人指名までを考えてはいなかったのに、数名の人の生活権をおびやかす・・・ 宮本百合子 「年譜」
出典:青空文庫