・・・これはただ経済的の理由だけで、金にもっと余裕がつけば直ぐにでも作り出すだろう。常設館の大きいところでは、ソユーズ・キノの技術部のものが、カメラを持って来て、休みの時間に一般の機械に関する質問に答え、機械を解剖して見せていた。 ソヴェトの・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの「労働者クラブ」」
・・・そういう人間が集った一つの運動的な部隊としての価値が、ただ雑多な人間の寄せ集めの総和としてだけの価値を持つのでなく、別個のより高い価値を作り出すところにその運動の本質が備えている歴史的な新たな価値があった。従って、そういう運動に参加していた・・・ 宮本百合子 「ヒューマニズムへの道」
・・・しかしそれを切りぬけて出た作者は、その卒直な態度のゆえに、また物を言い切る明快さのゆえに、物の形のくっきりとした、明澄な世界を作り出すことができるであろう。そういう作の中には、非常によい人物と、非常にいやな人物とが、並んで現われるかも知れな・・・ 和辻哲郎 「藤村の個性」
・・・推古仏の特徴は肢体がほっそりした印象を与えること、顔も細面であること、それらを取り扱う場合に意味ある形を作り出すことが主要なねらいであって、感覚的な興味は二の次であることなどであるが、そういう特徴を持つものが雲岡の石仏の中に全然ないとは言い・・・ 和辻哲郎 「麦積山塑像の示唆するもの」
・・・しかも人形の使い手、語り手、弾き手は、直接に統一を作り出すのである。それは古くから言われているように「息を合わせる」のであって、悟性の判断に待つのではない。この点について三味線の鶴沢重造氏はきわめて興味の深いことを話してくれた。最初三味線を・・・ 和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
出典:青空文庫