・・・美くしい月光の揺曳のうちにも、光輝燦然たる太陽のうち、または木や草や、一本の苔にまでも宿っている彼女の守霊は、あらゆる時と場所との規則を超脱して、泣いて行く彼女を愛撫し、激昂に震える彼女を静かに、なだめるのである。 心が暗く、陰気に沈む・・・ 宮本百合子 「地は饒なり」
・・・その伝説的に高貴であった先生が、私の今日まで育って来た個性の傾向を知って、励まして下さった歓びは、恐らく私の一生を通じてその光輝を失う事は無いだろう。 此の感謝は、上の学校へ行ってから、同じような純粋な愛で、私の行く道に力強い暗示を与え・・・ 宮本百合子 「追慕」
・・・更にその名も書かれず、事業も表面には記録されないような場所と役割で、光輝ある人民解放運動のために一生を忠実に働いたインテリゲンツィア婦人は決して十人や二十人ではなかったのだ。レーニン夫人のクループスカヤも小学校の女教師をしながら、レーニング・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・ゴーリキイは歴史の正しい進展のために文学の仕事をもって献身し、その歴史の光輝ある達成のうちに作家としての彼自らをも完成させた。歴史性と箇性・才能との相互関係について未曾有の典型を示しつつ、彼の六十八年の生涯を終ったのである。 マクシム・・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・男性が最もよく女性の感化を受けた時、彼は天性の最善、最美な光輝を現します。それと同じに、女性は男性の正しいよい影響を受けると、彼女の生命の一番目覚ましい発育を遂げるのです。私共は、それ故、異性の間に生れる特殊な雰囲気は、人生に大切な一種の創・・・ 宮本百合子 「惨めな無我夢中」
出典:青空文庫