・・・日本のように民間の世論調査機関が発達していず、しかも官僚統計は不備不活溌である場合、日本全土にわたる配布網、宣伝網をもつ大新聞が、比較的たやすく世論調査の便宜をそなえている。 日本では大新聞が世論調査の便宜をもっているということに、小さ・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ソヴェト同盟では、世界のブルジョア学者、政治家が口を揃えて嘲弄した生産拡張の五ヵ年計画をあらゆる革命的勤労者の支持と、偉大な努力とで、第二年目を終ろうとしている。ソヴェト全土に燃えるような飛躍と建設が響き渡っている。 わたしは、その夏、・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・ 支那と云えば明治の始めから私達日本の人民は何時もなんとなしにおとった人民の様に思いこまされて居って、日清、日露そして第二次世界大戦に於ての中国全土にわたる日本軍の侵リャクを大して人道的に罪だとも思わせられない様になっていました。 ・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・続いてその三年目は、逝けるレフ・トルストイが目醒めないながらも熾烈に働く人間精神の欲求によってさぐり求めていた万民の幸福への、至難多岐な第一歩がロシア全土に於て踏み出された年である。 父を理解しない当時の国家の権力までをつかって、財産を・・・ 宮本百合子 「ジャンの物語」
・・・『プラウダ』が刻々にうつりかわるСССР全土の、世界プロレタリアート全体の問題について書いている。工場新聞は、その問題に当面して一工場としての立場から同じ題目をとりあげる。壁新聞は、もう一段こまかくわかれた職場学級内の遠慮ない発言、要求・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・耕作用トラクターと一緒にひろいソヴェト全土に文化の光をまき散らそうというわけだ。作家、画家、映画労働者、劇場労働者、みんな出かけたが、技術家揃いだから、自分たちの乗って行く列車だって無駄にはしない。三等列車の外っ側を、溌溂たるプラカートや、・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・日本全土に空襲の恐怖と疎開さわぎがはじまった。七月サイパン島で全員戦死の発表が行われ、侵略戦争の現実の姿がむき出されはじめた。この月に東條内閣は辞職して小磯、米内の協力内閣ができた。この年のはじめ国民総動員が行われ十七歳以上を兵役に編入・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ロシア全土は、歴史に著名なポベドノスツェフの辣腕によって窒息させられ、チェホフが友人への手紙に「ロシアは専制によって滅亡に近づいている」と書いた時代であった。多くの有能な生命が監獄とシベリヤとで滅ぼされている。しかし坐って論じている人々は、・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・・農民の生活二、ソヴェト同盟の兄弟たちは、どんな闘争を通じて勝利を得たのか三、ソヴェト同盟の国家体制と日本の国家体制 はしがき 去る九月十八日、日本、満州国の全土にわたって、支配階級の命令に基いて、・・・ 宮本百合子 「労働者農民の国家とブルジョア地主の国家」
・・・十五億九千万円の動産と百三十五万町歩の土地とをもつ日本の君主は、この波瀾万丈の日本全土を巡って、自身の宣戦によって戦争が引起され、全人民の生活が破壊されている光景を前に、人民投票をさせようとしている。 生きようと欲するのは男だけの希望で・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」
出典:青空文庫